風俗営業の許可を受けたスナックやバーで、キャストに報酬を払っている場合、お店が所得税を差し引いて(源泉徴収して)税務署に納める義務があることは、意外と知られていません。
時給や出勤日をお店が決めている場合は、雇用(給与)と判断されやすく、この記事の計算ではなく給与の源泉徴収(源泉徴収税額表)になります。どちらに当たるか迷うときは、税理士にご確認ください。
この記事では、国税庁の資料をもとに、計算のしかたと納付の期限をまとめます。
そもそも源泉徴収が必要なのか
国税庁は「源泉徴収が必要な報酬・料金等」として、バーやキャバレーなどのホステスへの報酬・料金をはっきり挙げています。
対象になるのは、たとえば次のような支払いです。
- バーやキャバレーなどの経営者が、そこで働くホステス等に払う報酬
- バンケットホステスやコンパニオンを宴会などに派遣する事業者が、その人たちに払う報酬
報奨金や衣装代、深夜に帰るときのタクシー代も、報酬・料金に含まれるとされています。
計算式
ホステス等の報酬の源泉徴収税額は、次の式で計算します。
(1回に払う報酬の額 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21%
1円未満の端数は切り捨てます。
ポイントは「5,000円 × 日数」を先に差し引けることです。報酬がこの控除額より少なければ、源泉徴収する税額はありません。
「日数」は出勤日数ではない
いちばん間違えやすいのがここです。
「計算期間の日数」は、営業日数や出勤日数ではなく、報酬の計算の基礎となった期間の初日から末日までの日数(暦日数)です。
たとえば「10月1日〜10月31日の分」をまとめて払うなら、その子が10日しか出勤していなくても、日数は31日です。
計算例
国税庁の例をそのまま見てみます。
| 項目 |
内容 |
| 計算期間 |
3月1日〜3月31日(31日間) |
| 営業日数 |
25日 |
| 報酬の額 |
750,000円 |
| 控除額 |
5,000円 × 31日 = 155,000円 |
| 源泉徴収税額 |
(750,000円 − 155,000円)× 10.21% = 60,749円 |
営業日数は25日ですが、控除額の計算には31日を使っていることに注目してください。
給与も一緒に払っている場合
同じ月に、同じ人へ給与も払っている場合は、上の「5,000円 × 日数」の控除額から、その計算期間に払った給与の額を差し引いて計算します。控除できる額が小さくなるので注意が必要です。
日払いのお店はどうする?
日払いで毎日渡している場合も、「1回に払う報酬」とその「計算期間」を対応させて計算するのが基本です。
ただし、日払いが「その日の分の報酬」なのか、「月末に精算する報酬の前払い」なのかで、計算期間の考え方が変わることがあります。どちらに当たるかは、お店の払い方によるので、税理士にご確認ください。
毎日の記録が残っていないと、あとから正しく計算できません。渡した日・金額・何の分かを、毎回残しておきましょう。
納付の期限
源泉徴収した税額は、払った月の翌月10日までに納めます。e-Taxのキャッシュレス納付か、納付書を使って金融機関・税務署の窓口で納めます。
従業員が少ないお店が使える「納期の特例」(半年に1回まとめて納める制度)がありますが、ホステス等への報酬は特例の対象外です。給与を特例で納めているお店でも、ホステス報酬の分は毎月納める必要があります。
まとめ
- ホステス等への報酬は、源泉徴収の対象
- 計算式は(報酬 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21%
- 日数は出勤日数ではなく、期間の暦日数
- 給与も払っている月は、控除額から給与の額を差し引く
- 納付は翌月10日まで。納期の特例は使えない
なお、令和9年分以後は税目の名前が「所得税、防衛特別所得税及び復興特別所得税」になります。国税庁は、合計の率(10.21%)は変わらず、源泉徴収税額の計算のしかたも変わらないと案内しています。